Mac の改造と保証

一口に「改造」と言っても様々な改造があります

最も安全な改造と言えば、純正改造といえる
Apple Store でのカスタマイズ(CTO)になります
CTO は純正ですので改造したパーツにも保証が付きます
ただし純正だけあって改造費は割高になります
また改造できる範囲が限定されますし
購入時のみにしか改造が施せないという欠点があります

一般的な「改造」といえばショップやユーザーが
パーツの換装や増設を行うことになると思います

現在の Mac の「改造」といえば
「メモリ増設」「HDD / SSD 換装・増設」「グラフィックカード換装」が主流です
腕に自信のあるユーザーは「CPU 換装」も含まれるでしょう

改造事情を個別にご説明したいと思いますが
「グラフィックカードの換装」については
MacPro のみが対象となり、選択肢も限定されるので省きます
また筐体を加工したり、別機種のロジックボードを移植するような
いわゆる「ドーピング系」の改造も省きました

「メモリ」
現代の Mac はメモリの増設作業が簡単に行える*ようになりました
Apple の設計ポリシーなのか、メモリ搭載箇所へのアクセスは
たいてい+ドライバー1本で済みます
しかし実際の作業は注意が必要です
メモリに触れる際には静電気に注意が必要ですし
メモリの出し入れの際には力加減によっては
モジュールやスロットを破損してしまう場合もあります
また特定機種ではメモリカバーのビスがなめてしまうトラブルが目立ちます
作業に自信の無い方は要注意です
ここ数年来メモリ価格が下落したことと上記のとおり
メモリ増設が簡単に行える構造になったせいか
DIY でメモリ増設されるユーザーが増えておりますが
それに比例してトラブルも増加しております

*簡単に行える
iMac Late 2012 21.5inch に限ってはメモリを換装するには
液晶パネルを外す必要があり、非常に難易度の高い作業となりました
27inch モデルも一部のメモリは交換作業の難易度は高いです

「HDD / SSD」
現代の Mac の改造で最も効果が高いと言われているのが HDD の SSD 化です
SSD は高価ですが高速、HDD は安価で大容量ですが低速という特性があります
よってシステム用に SSD、データ保存用に HDD というセッティングが「鉄板」です
デスクトップ機種の大部分は SSD と HDD の混載が可能です
最も人気なのは iMac の SSD 追加搭載(HDD との混載)ですが
一部の iMac はかなり厄介というか曲者です
世代によっては専用のケーブルやマウンタが必要になりますし
機種によっては HDD / SSD を換装すると
冷却ファンが高速回転してしまうのです
いわゆるファンの暴走と呼ばれる状態です

またここ数年、光学ドライブ部分に2台目の HDD / SSD を搭載するのがトレンドです
とくにノート機種については、HDD を2台搭載するメリットは大きく
人気の改造となっております
ネット上では様々な換装例が紹介されており
腕自慢のユーザーが DIY されているようですが
この改造もケーブルの切断、コネクタの損傷などなど失敗談も多く
こちらも作業上のトラブルが増えております

「CPU」
Intel Mac となってから、上位互換 CPU の入手が容易となりました
例えば Core Duo を Core 2 Duo へ換装が可能になりました
モトローラ時代とは異なり Intel は定期的にアップデートしており
今や安価なモデルでも4コア(Quad Core)化されております
予算的には本体の買替えか CPU 換装か微妙なところですが
メカ好きの方にとって CPU 換装は魅力的な改造なのです
ただし DOS/V 機での経験・知識がそのまま Mac に流用できるとは
思わないほうがよろしいようです
原則として CPU は封印されておりますので
元の CPU を外した瞬間に保証が切れますし、修理を受けられなくなります
旧世代の機種で古い OS を快適に動作させたい場合などは
CPU 換装はとても有効な手段になります


以上の通り改造はとても魅力的なのですが
最も注意しなければならないのは「保証問題」です
Mac が一般化しつつあった80年代末からメモリや HDD を
増設・大容量化した Mac を販売しているショップが存在します
標準スペックでは性能が不十分なユーザーや
Apple Store よりも安価に改造したいが
パーツ選びや改造作業に自信のないユーザーにとって
ショップにて改造済みの Mac はとても魅力的です
また Apple Store では選択不可能な、大容量のメモリや HDD / SSD が
安価で提供されております

ここ数年ネットオークションや一部のショップで目にするのは
新品 Mac に対しメモリの増設だけでなく
CPU や HDD / SSD を高性能、大容量化した状態で販売されています
注意したいのは、その改造された Mac の保証です
新品なので大抵1年保証で販売されているようですが
問題はその保証の内容です
換装したパーツはショップやパーツメーカーの保証があるので安心ですが
Mac 本体については Apple のメーカー保証となると記載されている場合は
注意が必要です

仮に新品購入したショップにて改造(メモリ+ SSD 化)された Mac が
1年以内にロジックボードが故障したとしましょう
ロジックボードは改造しておりませんから
ショップはメーカーで修理するよう案内するでしょう
その Mac を Apple Store に持ち込んだとしましょう
Apple Store は自社製品ですので、調査はしてくれます
そしておそらくこんな判断がなされるはずです
「純正品ではないパーツに交換されておりますので、有償修理になります」
または
「純正品ではないパーツに交換されておりますので、保証期間内ですが修理不能です」
と。

これは Apple製品1年限定保証より抜粋です

・Appleの発行するガイドラインに定める以外の方法で
 Apple製品を作動させたことにより生じる損害の場合
・Appleの担当者またはApple正規サービスプロバイダ以外の者が履行した
 サービス(アップグレードや拡張を含みま す)によって生じる損害の場合
・Appleの書面による許可なく機能性もしくは性能を変更するために
 Apple製品が改造された場合

以上に該当する場合は無償保証の対象外になると明記されております
不幸にも改造した Mac が保証期間内に故障し
メーカー保証を受ける際、純正の初期状態に戻す必要があります
純正のメモリ、HDD / SSD が必要になるのです
こう書くと
「元の純正の初期状態に戻せば正規の保証や修理は受けられる」
と思われるでしょうが
ここにも落とし穴があるのです
まず初期状態に戻すにも、元々搭載されていた純正のパーツが無ければ
元に戻しようがありません
さらに…
幸い元のパーツを保管していて、初期状態に戻せたとしましょう
ところが Mac の外装や内部に分解した痕跡があった場合は
たとえ純正の状態であったとして Apple 製品の保証規定に觝触しますので
正規外の改造をしたと見なされ、有償修理または修理を受けられない場合があるのです

Apple 保証既定を理解せずに改造 Mac を販売しているショップや
保証外を承知の上で説明をせずに改造を施しているショップには
要注意ということです
個人が趣味の範囲で SSD 化や CPU 換装をするのとは全く次元が異なります
美味しい話には必ずどこかに落とし穴があるのです

結論
・改造 Mac を購入するのなら保証の内容を確認すべし
・自己改造は保証を失うことを承知の上で行うべし

長文お付き合いいただきありがとうございます

それではまた次回、またこの場所で

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