iMac の故障傾向 その2

前回は第2世代 iMac DV までのエントリでした
今回は液晶モデルとなった第3世代・iMac G4 Flat Panel からです

第3世代 iMac G4 Flat Panel 2002.1〜
それまでのキャンディカラーとはうって変わり
白一色での展開となり、個性は薄れてしまいました
しかしながら、その形状はビックリドッキリの
とても大胆な「大福」型での登場でした
液晶化ということで、画面部分を稼働アームで自由に動かせる
当時のパソコンとしては、かなり特異な形状を採用し
本体部分の台座が半球形でしたので「大福」以外にも
「まんじゅう」や「ぼた餅」などとも呼ばれていました

この世代の大きな特徴ですが
前期型と後期型で仕様がかなり異なります
前期型は OS9 起動が可能、USB が 1.1、メモリは PC133 規格
後期型は OS9 は起動不可で Classic のみ、USB が 2.0、メモリは DDR 規格
へと進化しました
外見や CPU に変化は無かったもののスペックや仕様が異なりますし
内部の仕様は大きく異なります
オプションの Air Mac カードも前期型と後期型では異なります

さらにOSのアップグレードですが
後期型は OSX 10.5 Leopard までアップグレード可能ですが
前期型は OSX 10.4 Tiger までとなります
iPhone や iPad を利用される方は注意が必要です

この仕様の変化は併売されていた eMac も前後期型で同様でした

これらの特徴から前期型を単に「Flat Panel」
後期型を「Flat Panel USB 2.0」と表記する場合もあるようです

第4世代 iMac G5 2004.8〜
「世代」として分類する場合に、難しいのが「G5」の世代です
まず販売された機種を細かく記載致しますと

カメラが付いていない G5 最初の3モデル(2004.8〜)
これらは単に「iMac G5」と呼称しております

M9248J/A G5 / 1.6Ghz / 17inch
M9249J/A G5 / 1.8Ghz / 17inch
M9250J/A G5 / 1.8Ghz / 20inch

カメラが付いていないマイナーチェンジモデル3モデル(2005.5〜)
これらはセンサーが付いたことから
「Ambient Light Sensor」モデルと呼称されており
最初のモデルとは一応区別されてます

M9843J/A G5 / 1.8Ghz / 17inch
M9844J/A G5 / 2.0Ghz / 17inch
M9845J/A G5 / 2.0Ghz / 20inch

上記6モデルは外見が全く同じなので
一つの世代として括ってもいいと思いますが
次のカメラ付きのモデル「iMac G5 iSgiht」については
メモリの仕様が DDR から DDR2 に変更になり
アーキテクチャが PCI ベースから PCI Express に進化
さらにはあまり変化の無い外観とは異なり
内部構造については全面的に手が加えられ(分解しづらくなりました!)
世代という意味では CPU は G5 のままでも大きく異なるので
iSight モデルについては本来なら第5世代とすべきところでしょうが
販売期間が短かった*ので面倒なんで4.5世代ってことにしておきましょう(笑)

カメラ付「iMac G5 iSight」2モデル(2005.10〜)
MA063J/A G5 / 1.9Ghz / 17inch
MA064J/A G5 / 2.1Ghz / 20inch

*「販売期間が短かった」
2005 WWDC (Worldwide Developers Conference)にて
Macintosh に搭載される CPU は PowerPC にかわり
Intel プロセッサに変更するというアナウンスがありました
iMac は他の機種に先駆けて真っ先に Intel 化されました
Intel Mac 最初のモデル

MA199J/A Core Duo / 1.83Ghz / 17inch
MA200J/A Core Duo / 2.0Ghz / 20inch

が発売されたのが 2006.1.11なので
「iSight」モデルの販売期間はわずか3ヶ月程だったことになります
これは歴代の Mac のなかでも異例の短命モデルです
ただし iMac なので販売台数は少なくはなく
ハッキリ言って希少価値はありません。あしからず。

第4世代の iMac G5 からは光学ドライブが
デスクトップ用トレー式の5インチタイプではなく
ノートパソコン用のスリムドライブ・スロットインタイプに変更になりました
CPU が G5 へ進化し、メモリも最大2GB搭載可能となり本体の処理能力は
大幅に向上しましたが、こと光学ドライブに関しては
読み込み、書き込み速度が落ちてしまいました
薄い筐体になったデメリットの一つでした

長くなりましたので、今回はここまでとしたいと思います
初代〜第4世代までが「レガシー Mac」 とカテゴライズされる場合がございます
CPU が PowerPC で OS9 起動や Classic に対応しているのは
この世代までとなります


「故障傾向」

この世代からモニターがブラウン管から液晶モデルになり
消費電力が減り電源系の負担は下がったはずですが
電源系の故障は減っておりません
後述しますが G5 はむしろ故障率が上がった感もあります
やはり iMac というパソコンの位置づけからか
電源部分に丈夫で信頼性の高いパーツは用いられていないようです

個別に見ていきましょう
iMac G4 Flat モデルはその特殊な形状もあり
半球形の本体底の外周スリット部分には
埃がビッシリと付着しやすい構造です
こちらは空気の流れから、吸い込まれた埃や塵です
また半球形本体の頭頂部、液晶のアームの付け根部分のスリットにも
埃が入り込みやすい構造となっております
こちらは空気の抜ける出口なのですが、垂直方向に穴が空いているので
使用していない時(ファン停止時)にも埃が積もってしまいます
埃がたまれば風が抜けにくくなったり、熱がこもります
結果、内部温度が上がりやすくなり故障率も上がるという訳です
この機種は、分解の難易度が高い機種ですので
お掃除しようとしたら、壊してしまったというご相談の多い機種です
かく言う私も過去にケーブルコネクタを壊しかけた経験があります

故障しやすい部位の偏りは無いようです
製造から7〜9年になりますので経年故障は起きていますが
大多数はこの機種特有ではない一般的なドライブ類の故障が目立つくらいです
純粋な修理扱いとしては歴代、最も少ない iMac という印象があります
ドライブ類と埃のケアさえしてあげれば長〜く付き合える Mac だと思います

一方の iMac G5 / Ambient Light Sensor / iSight モデルは問題の多い機種でした
というか現在でも修理扱いの多い世代です
まぁハッキリ言って「こまったちゃん」ですね(苦笑)
PowerPC の最終モデルということで、ユーザーが多いのですが
メーカーサポートが完了してしまったので、私共のような小規模ショップに
修理をご依頼される方が多いようです

この世代は発売直後から様々な
「リペアエクステンションプログラム」
の対象となりました
リペアなんちゃらとカッコいい表現ですが
わかりやすく言えば「リコール」です
購入から1年を超えても、無償で修理をしていた案件もありました
あるリコールは内部で使われているコンデンサ類に
低品質のものが使われていることに起因しておりました
「なんちゃらプログラム」に興味のある方は
『iMac リコール』『iMac プログラム』などでググれば
いろいろ出てきますので、そちらを参照ください

iMac G5 / Ambient Light Sensor(iSight 除く) は
電源ユニットが独立していましたが
この電源ユニットも故障率の高いパーツです
私共では iMac G5 / Ambient Light Sensor 専用の電源ユニット
(17インチ用、20インチ用は各々専用となります)は
信頼性の高いパーツでリビルトしたユニットをご用意しておりますので
電源ユニットだけの故障ならばご相談ください
在庫時はすぐに交換可能です
条件が整えば数十分でお持ち帰りいただく事も可能です

iMac G5 / Ambient Light Sensor と iMac G5 iSight は先にも触れたとおり
外観こそ似ていますが、内部構造は全面的に変更されており
まったく互換性がありませんでした
故障率はどっちもどっち、どっこいどっこいですね
製造から5〜7年が経過していることもあり
ヘビーユースの個体となると、かなり痛んでおります
故障箇所が多岐に渡る場合(例えばロジックボード+電源ユニット+HDD)は
故障パーツをすべて交換するとなると、かなり高価になってしまいますので
修理ではなく、別の中古品に正常なパーツを移植してしまったほうが
費用を抑えることができます

これはあくまで私見ですが
第4世代の iMac G5 は歴代最悪という印象があります
この世代から採用された形状は、いまだに継承されています
液晶パネルの裏側にロジックボードを配置し
見た目はちょっと厚みのある液晶モニタという構造・外観です
この形状が一体型パソコンの完成形でしょう
Windows でも似たような形状のパソコンが多くのメーカーから発売されております
今では見慣れた液晶モニター一体型パソコンですが
やはりこれだけスマートで薄い筐体にすべてを押し込むのは
当時の技術では少し無理があったのかもしれませんね
プライベートで長期間この型の iMac を使っていましたが
割り切っておりましたし、正直思い入れがありませんでした
残念ながら震災で液晶画面が割れてしまい
廃棄処分となってしまいましたが、、、、(涙)


「その1」では個人的な思い入れを書きすぎたので
今回はちょっと気をつけてみたつもりでしたが
いかがでしたでしょうか?

長文お付き合いいただき、ありがとうございました

→ iMac 故障傾向 その1へ

→ iMac 故障傾向 その3へ

それではまた次回、またこの場所で…

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